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不法就労助長罪の解説と企業が取るべき対策

外国人受け入れ企業 不法就労

1.不法就労助長罪とは

入管法(出入国管理及び難民認定法)は、次のいずれかに該当する者に対し、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定めています(入管法73条の2第1項)。
• ① 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
• ② 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
• ③ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は上記②の行為に関しあっせんした者

2.不法就労とは

不法就労助長罪でいうところの「不法就労」とは、日本に滞在する以下の外国人などが行う活動であって、報酬その他の収入を伴うものをいいます(入管法24条3号の4イ)。

(1)在留資格の範囲外で活動する外国人(入管法19条1項)

在留資格で定められた活動に属しない活動を行う者(業として行うものではない講演への謝金、日常生活に伴う臨時の報酬などを除く)。


(2)許可の範囲を超えて活動する難民認定申請者等(入管法61条の2の7第1項)

仮滞在の許可を受けた者(法務大臣から生計維持のために必要な範囲で許可を受けた場合を除く)。

(3)不法入国者(入管法70条1項1号、3条1号)

有効な旅券を所持しない外国人。

(4)不法上陸者(入管法70条1項2号)

上陸の許可等を受けないで日本に上陸した外国人。

(5)在留資格取消者(入管法70条1項3号、3号の2)

在留資格を取り消された後、日本に残留する外国人。

(6)オーバーステイ(不法残留者)(入管法70条1項3号の3,5号)

在留期間を経過して日本に残留する外国人。

【補足:不法就労を行った外国人本人の罰則】

• 上記(1)の場合: 「専ら行っていると明らかに認められる」場合は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金等(入管法70条1項4号)。それ以外の場合は1年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金等(入管法73条1号)。
• 上記(2)の場合: 1年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金等(入管法73条2号)。
• 上記(3)〜(6)の場合: 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金等(入管法70条1項各号)。

 

3.「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」の解釈

不法就労助長罪には、上記1記載のとおり、3つのパターンがありますが、今回は特に実務で問題となる「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」について詳しく解説します。

① 成立要件と対象者

「不法就労活動をさせた者」に当たるためには、特定の外国人との間で対人関係上優位な立場にあることを利用して、その外国人に対し、不法就労活動を行うべく指示等の働きかけをすることが必要とされています。 この場合の「優位」とは、特に優越性が高度である必要はなく、不法就労活動を「させた」といえる程度の対人関係上優位な立場があれば足りるとされています。また、経営者や監督者だけでなく、単なる従業員であっても処罰の対象に含まれるとされています(東京高裁平成5年9月22日判決)。

② 「過失」と免責のハードル

経営者などが「不法就労であること」を知らなかったとしても、原則として処罰を免れることはできません。 ただし、知らなかったことについて「過失」がないときは処罰されないとされています(入管法73条の2第2項)。ここでいう過失とは「確認にあたって尽くすべき手段をすべて尽くさなかったこと」を意味すると考えられています(出入国管理実務六法解説)。
• 在留カードの確認を怠った場合
• 資格外活動許可の条件が不明確であるのに、許可書や証印を確認しなかった場合
これらは「尽くすべき手段をすべて尽くした」とはいえず、過失が認められる可能性が高いと考えられています。

 

4.不法就労助長罪に該当する3つの代表的なケース

(1) 在留資格と業務内容のミスマッチ

就労資格(「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」など)を持つ外国人に、その資格で認められた範囲を超える業務を行わせるケースです。
※「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」には活動制限がないため、このミスマッチは生じません。
【注意点】 経営者は雇用する外国人の在留資格を確認することが容易であり、業務内容も認識しているはずですので、このケースで「過失がなかった」と主張することは著しく困難です。

(2) 就労が認められない在留資格を持つ外国人の雇用

「留学」、「家族滞在」、「短期滞在」の資格を持つ外国人を、資格外活動許可を受けさせずに(または範囲を超えて)就労させるケースです。

(3) 不法滞在状態にある外国人の雇用

オーバーステイ、不法入国者などを雇用するケースです。 たとえ不法滞在であることを知らなかったとしても、パスポートや在留カードの確認を怠っていれば「過失」が認められ、処罰の対象となります。

5.不法就労助長罪となることを防ぐための具体的な対策

(1) 業務内容の適合性確認

就労させようとする業務が、在留カード記載の在留資格で認められた業務と一致するか確認してください。この確認には、専門的な判断を要する場合があります。
• 例: 「技術・人文知識・国際業務」の外国人に単純労働を行わせていないか。
• 例: 「特定技能(宿泊)」の外国人を宿泊施設内のレストランサービスのみに従事させていないか。

(2) 資格外活動許可と労働時間の確認

「留学」、「家族滞在」の外国人を雇用する場合、在留カードで資格外活動許可の有無、内容を確認した上で、週28時間以内などの制限を遵守させる必要があります。自社だけでなく、他社でのアルバイト状況も必ず確認してください。また、「留学」の場合は、雇用時に実際に教育機関に在籍しているかどうかも確認してください。

(3) 不法滞在の確認

パスポート、在留カードの確認を徹底してください。原本の提示を受けることはもちろん、「在留カード等読取アプリ」を使用してICチップを確認することも行った方がよいでしょう。

 

6.まずは南淵聡法律事務所へご相談を

南淵聡法律事務所では、入管法・労働法・技能実習法に精通した弁護士が、企業の外国人雇用にまつわるご相談をお受けしております。外国人をこれから雇用する方も、現在雇用中の方も、少しでもお困りごとや不安なことがございましたら是非ご相談ください。