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外国人労働者の雇用で最も注意すべき「不法就労」と「不法就労助長罪」
外国人労働者を受け入れる企業にとって、最も注意すべき法的リスクが「不法就労」と「不法就労助長罪」です。
これらは単なる行政上の違反ではなく、刑事罰が科される「犯罪」にあたります。
適切な確認や管理を怠ると、企業や担当者が知らぬ間に刑事責任を問われることもあり、慎重な対応が求められます。
不法就労罪とは
「不法就労罪」とは、外国人が入管法で認められていない業種・職種・方法・期間で働くことをいいます。
単に「在留資格がない状態で働く」だけでなく、以下のようなケースも不法就労に該当します。
- 留学生が資格外活動の許可を得ずにコンビニでアルバイトをしている場合
- 「技能実習(介護)」の資格で来日した実習生が建設現場で働く場合
- 「短期滞在(観光)」の在留資格でアルバイトを行っている場合
- 在留期限を過ぎても更新せず、引き続き勤務している場合
このように、「就労しても良い資格か」「資格の範囲内で働いているか」を確認しないまま雇用すると、不法就労罪が成立する可能性があります。
不法就労助長罪とは
一方、企業や経営者、採用担当者などが、不法就労を手助けした場合に問われるのが「不法就労助長罪」です。
具体的には、以下のような行為がこれに該当します。
- 不法就労であることを知りながら雇用する
- 在留資格の確認を怠ったまま採用する
- 不法就労を見て見ぬふりをして働かせ続ける
不法就労助長罪は、実際に手助けする意図がなくても、「確認を怠ったことによる過失」で責任を問われる場合もあります。
企業としては、「知らなかった」「気づかなかった」では済まされません。
罰則と行政上の不利益
不法就労罪・不法就労助長罪の刑罰はいずれも3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
刑事罰が科されるだけでなく、社会的・経済的な影響も非常に大きいものとなります。
外国人本人に対しては、不法就労が発覚した時点で退去強制手続が取られるのが一般的です。
強制送還された場合、原則5年間(場合によっては10年間)日本への再入国が認められません。
本人にとっては、生活や将来の計画を大きく損なう重大な結果となります。
一方、企業側に対しては、刑事罰のほかに以下のような不利益が生じる可能性があります。
- 社会的信用の失墜
- 行政処分(入札停止、登録取消など)
- 外国人雇用に関する行政指導・是正勧告
- 入管庁による監視強化や審査の厳格化
特に、「不法就労助長を行った企業」として記録された場合、その企業では新たな外国人雇用のための在留資格認定が認められにくくなるなど、長期的に外国人採用が困難になるおそれもあります。
不法就労助長罪を防ぐために企業が行うべき確認
企業が不法就労助長罪を回避するためには、採用時に必ず在留資格を確認する体制を整えることが不可欠です。
最低限、以下の項目をチェックしましょう。
在留カードの確認
– 在留資格の種類
– 在留期間(有効期限)
– 就労制限の有無
– 在留カード番号と真正性(偽造でないか)
資格外活動許可の確認(留学生・家族滞在者などの場合)
– アルバイトや就労が認められているか
– 週の労働時間制限(通常28時間以内)を遵守しているか
在留資格変更の要否・可否の確認
– 採用予定の業務内容が現在の資格に適合しているか
これらの確認は、採用時だけでなく、雇用継続中や更新時にも定期的に行うことが望まれます。
適法な雇用体制の構築が企業の信頼につながる
外国人労働者の雇用における法令違反は、企業の社会的信頼を大きく損ねます。
一方で、入管法や労働法を遵守し、適正な手続を踏んで外国人を雇用する企業は、行政からの信頼を得やすく、優秀な外国人材の確保・定着にもつながります。
外国人雇用については専門家までご相談ください
外国人労働者を受け入れるための制度理解は、専門家でも非常に難易度が高い分野となっており、企業の人事担当だけでは不法就労のリスクが伴います。そのため、外国人雇用に関しては専門家へ相談できる体制を整えておくことが重要です。
南淵聡法律事務所では、入管法・労働法・技能実習法に精通した弁護士が、企業の外国人雇用にまつわるご相談をお受けしております。外国人をこれから雇用する方も、現在雇用中の方も、少しでもお困りごとや不安なことがございましたら是非ご相談ください。