監理団体および登録支援機関の運営においては、法遵守が厳格に求められます。万が一、不適切な事態が生じた場合に行政から下される処分や、その際の対応について詳しく解説します。
目次
監理団体に対する改善命令、業務停止、監理許可取消など
(1)行政指導
法務大臣や厚生労働大臣は、行政指導(行政手続法2条6号)として、監理団体に対し、指導や勧告、助言等をしてくることがあります。ただし、行政指導には、強制力がありませんので、必ず従わなければならないという性質のものではありません。
(2)報告徴収等
法務大臣や厚生労働大臣は、監理団体やその役員、職員(役員や職員であった者を含む。)に対し、報告や帳簿書類の提出、提示、出頭を求め、質問を行い、事業所などに立ち入り、その設備、帳簿書類などを検査することができます(技能実習法35条1項)。
(3)改善命令等
法務大臣や厚生労働大臣は、監理団体が、出入国若しくは労働に関する法律、命令の規定に違反した場合、当該監理団体に対し、期限を定めて、その監理事業の運営を改善するために必要な措置をとることを命ずることができます(技能実習法36条1項)。
(4)監理許可変更
法務大臣や厚生労働大臣は、一般監理事業の許可を受けた監理団体が、一般監理事業の基準に適合しなくなったと認めるときは、当該監理許可を特定監理事業の許可に変更することができます(技能実習法37条2項)。
(5)業務停止
法務大臣や厚生労働大臣は、監理団体が以下のいずれかに該当するときは、期間を定めて当該監理事業の全部又は一部の停止を命ずることができます(技能実習法37条3項参照)。
- 監理許可の基準に適合しなくなった場合
- 監理許可に付された条件に違反したとき
- 職業安定法、船員職業安定法、入管法、労働者派遣法やこれらの規定に基づく命令、処分に違反したとき
- 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
(6)監理許可取消
法務大臣や厚生労働大臣は、監理団体が以下のような場合には、監理許可を取り消すことができます(技能実習法37条1項参照)。
- ① 監理許可の基準に適合しなくなった場合
- ② 出入国や労働に関する法律の規定(詳細は、技能実習法施行令1条参照)又はこれらの規定に基づく命令の規定によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
- ③ 健康保険法、雇用保険法などの規定(詳細は、技能実習法10条4号)によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
- ④ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- ⑤ 監理許可を取り消された日から5年を経過しない者
- ⑥ 監理許可取消処分に係る聴聞に関する通知(行政手続法15条)があった日から当該処分をする(しない)ことを決定する日までに間に、監理事業廃止届をした日から5年を経過しない者(事業廃止について相当の理由のある者を除く。)
- ⑦ 監理許可申請日前5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者
- ⑧ 役員が以下の事由に該当する場合
- ア 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- イ 暴行罪、傷害罪、脅迫罪、背任罪、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことによって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- ウ 心身の故障
- エ 破産手続開始決定を受けて復権を得ない者
- オ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- カ 未成年者
- キ 出入国や労働に関する法律の規定(詳細は、技能実習法施行令1条参照)又はこれらの規定に基づく命令の規定によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
- ク 健康保険法、雇用保険法などの規定(詳細は、技能実習法10条4号)の規定によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
- ケ 監理許可申請日前5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者
- ⑨ 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
- ⑩ 監理許可に付された条件に違反したとき
- ⑪ 職業安定法、船員職業安定法、入管法、労働者派遣法やこれらの規定に基づく命令、処分に違反したとき
- ⑫ 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
(7)公示
主務大臣は、改善命令等、業務停止、監理許可変更、監理許可取消を行った場合には、その旨を公示しなければなりません(技能実習法36条2項、37条4項)。
登録支援機関に対する調査、登録取消など
(1)指導・助言
出入国在留管理庁長官は、登録支援機関の支援業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、登録支援機関に対し、必要な指導及び助言を行うことができます(入管法19条の31)。
(2)報告又は資料の提出
出入国在留管理庁長官は、支援業務の適正な運営を確保するため、登録支援機関に対し、その業務に関し、報告又は資料の提出を求めることができます(入管法19条の34)。
(3)調査
入国審査官又は入国警備官などの出入国在留管理庁の職員は、特定技能外国人に関する調査をするため、登録支援機関を含む関係人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示を求めることができます(入管法19条の37第1項、2項)。また、出入国在留管理庁長官、入国審査官、入国警備官は、特定技能外国人に関する調査をするため、登録支援機関を含む公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができます(同条3項)。
(4)登録取消
出入国管理庁長官は、登録支援機関が以下のような場合には、登録支援機関の登録を取り消すことができます(入管法19条の32第1項)。なお、登録を取り消された場合には、その後、5年間は再度登録をすることができません(同法19条の26第1項7号)。
- ① 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- ② 労働基準法(強制労働の禁止、中間搾取の排除、最低年齢、賠償予定の禁止、前借金相殺の禁止、強制貯金、時間外・休日・深夜の割増賃金、金品の返還、賃金支払、非常時払、休業手当、出来高払制の保障給)、職業安定法(暴行、脅迫、監禁等によって、職業紹介等を行ったとき、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介等を行ったとき、無許可で有料職業紹介事業を行ったときなど)、最低賃金法、労働施策推進法(外国人雇用状況届出書の不提出、虚偽届出)、労働者派遣法(公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での労働者派遣、派遣禁止業務への労働者派遣、無許可での労働者派遣など)などの規定又はこれらの規定に基づく命令の規定によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わって5年を経過しない者
- ③ 暴行罪、傷害罪、脅迫罪、背任罪、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことによって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- ④ 健康保険法、雇用保険法などの規定(詳細は、入管法19条の26第1項4号)によって、罰金の刑に処せられ、その執行を終わってから5年を経過しない者
- ⑤ 心身の故障
- ⑥ 破産手続開始決定を受けて復権を得ない者
- ⑦ 登録を取り消された法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過しない者
- ⑧ 登録申請日前5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者
- ⑨ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- ⑩ 未成年者
- ⑪ 法人であって、その役員のうちに上記①から⑩に該当する者があるもの
- ⑫ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- ⑬ 支援業務実施状況等の届出義務違反
- ⑭ 支援計画に基づく支援業務実施違反
- ⑮ 不正の手段により登録支援機関の登録を受けたとき
- ⑯ 出入国在留管理庁長官から求められた報告、資料の提出を怠り又は虚偽の報告、資料の提出をしたとき
監理団体・登録支援機関に対する不利益処分等に対する対応
行政庁から、行政指導や指導・助言、報告徴収等、調査が入った際には、その後の対応次第によって、改善命令等や業務停止、監理許可取消、登録取消という不利益処分に至ることも十分に考えられます。したがって、行政庁からこれらが入った際には、直ちに、適切な対応をとる必要があります。
なお、行政庁は、監理団体に対する改善命令等や監理許可変更、業務停止、監理許可取消を行う場合や、登録支援機関に対する登録取消を行う場合などの不利益処分を行う際には、監理団体や登録支援機関に対し、事前に、弁明の機会の付与や聴聞手続を行う必要があります(行政手続法13条1項)。監理団体や登録支援機関は、これらの不利益処分を受ける前には、行政庁に対し、自己に有利な事情や資料を提出することができます。
しかし、弁明の機会の付与や聴聞手続が開始された場合には、行政庁内において、改善命令等や業務停止、監理許可取消、登録取消などの不利益処分に至る手続が開始したことを意味します。そのような手続に至らないように事前に対応することが重要です。
不利益処分等に対する対応・相談は南淵聡法律事務所まで!
行政庁から、行政指導や指導・助言、報告徴収等、調査が入った際には、その後の対応次第によって、改善命令等や業務停止、監理許可取消、登録取消という不利益処分を受けることもあります。不測の事態を防ぐため、直ちに弁護士に相談してください。南淵聡法律事務所では、そのようなご相談にも対応可能です。
また、行政庁から、行政指導や指導・助言、報告徴収等、調査を受けることがないように、日ごろから、弁護士によるリーガルチェックを受けることをお勧めいたします。南淵聡法律事務所では、外国人雇用を行っている企業、監理団体、登録支援機関と顧問契約を締結することによって、継続的に企業、監理団体、登録支援機関のリーガルチェックを行います。